マオテラスがいても不思議じゃない場所と言えば…… | |
五大神にふさわしい器がある場所だろうね。清浄な神殿とか、穢れのない大自然とか | |
なら、試練の神殿は可能性大かも | |
『導師が困った。どうしよう!?』 | |
はは、ホントに返しに困るかも | |
すみません…… | |
ごめん、いいんだよ | |
何がライラの誓約か、わかってきたしね | |
ブウサギの歌、歌いま〜す! | |
ブウサギ美味し〜あの耳〜♪ | |
あ。マオテラス絡み! | |
ブウサギ美味し〜あの皮〜♪ | |
やめなさい。かわいそうよ、色々な意味で | |
責めてるわけじゃないんだ。ホントに | |
だよね。おかげで浄化の炎が使えるんだし | |
知りたいことは、自分の目で確かめればいいんだから | |
……ありがとうございます | |
甘いな。相変わらず、どうしようもない導師だ | |
デゼルさんも誓約を!? | |
今のは違う! |
アリーシャも一緒に行きたいんじゃないかな。ホントは | |
え? | |
なんとなくそう思って | |
ね、前はアリーシャがスレイの従士だったんだよね | |
なんで別れちゃったわけ? | |
えっと……別れたっていうか、アリーシャには夢があって…… | |
行きたかったのは本当だと思う | |
けど、アリーシャの霊応力は特別というほどじゃなかったから | |
反動で見えなくなってしまったんだ | |
スレイさんの目が | |
そっか……それで…… | |
……今は? まさか隠してないよね? | |
なんともないよ。ホントにホント | |
神依化まで可能にするロゼさんの霊応力は、導師に匹敵するほどですから | |
そうなんだ…… | |
あたし、自分の霊応力に感謝しないとね。うん | |
感謝……か |
アリーシャの疑いは晴れたんだよな? | |
アリーシャさんがローランスに通じているという? | |
ああ。そのせいで捕まったって | |
疑いもなにも、スレイを戦場に行かせるための冤罪でしょ | |
そう。こっちは約束を守った。捕まえておく理由はないさ | |
だよな。よかった | |
もっとも、前と同じじゃないでしょうけど | |
え? | |
そうでしょ。実際にローランスとの衝突は起こってしまったのよ | |
そんな状況で和平なんて唱えたら……か | |
微妙な立場が、さらに悪くなるだろうな | |
それで大人しくしてくれる子だったらいいんだけどね | |
アリーシャさんも王族。大臣たちも無茶はできないはずですが…… | |
アリーシャ…… |
ねえ、あのアシュラってホントに憑魔? | |
ええ、実際に穢れや領域を感じます | |
偽者って思うのか? | |
だって変じゃない? あんなヤバイ憑魔が野放しになってるなんて | |
なぜ護法天族が放置するのか | |
そう。偉くて強い天族なんでしょ? | |
それが試練だからだと思います。護法天族は、特別な使命を与えられた方々ですから | |
要するに奴らの都合ということだろう | |
そうね | |
否定はできませんが…… | |
二人とも、そういう言い方はないだろう | |
お前もわかっているはずだ。別に天族は聖人君子じゃない | |
ましてや正義の味方でもね | |
それは…… | |
納得! 二人が言うと説得力あるね | |
……わかればいい | |
うん。そういう試練ってことなら問題なしだ |
マルトランさんが、どうして…… | |
ローランス皇帝家に憑魔がいるんだ。ハイランドの騎士が憑魔でも不思議はないだろう | |
『戦争で名を成す英雄の多くが憑魔』という説が裏付けられてしまったね | |
けど、災禍の顕主の考えに従うなんて | |
それも不思議なことではありません。現に導師だったアシュラも…… | |
同じことを考えたんだもんな | |
人を救うため、再生のために、すべてを破壊する…… | |
穢れに絶望した人間がはまる落とし穴なのかもね | |
はい…… | |
アリーシャになんて言えばいいんだろう……? | |
てか、教えて大丈夫なのかな? | |
それは……知らずにいては危害を受けるかも | |
けど、アリーシャは利用し終わったって | |
事実……でしょうね。私たちに正体を明かしたことから考えて | |
なにより、アリーシャの支えだったんでしょ? あいつ | |
そうだね。支えがなくなるどころか、ずっと利用されていたと知ったらアリーシャは…… | |
それがマルトランの狙いかもしれんぞ | |
アリーシャの心をくじくことで、開戦を決定的にするつもりなのかも | |
オレはどうすれば…… |
あんな厳つい憑魔なのに、めちゃくちゃ怯えてたな | |
……あれは仕方ないだろう…… | |
ミノタウロスは虐げられた者の想いが集合し歪んでしまったものなんです | |
いつも怒りを露わにしているのも、その反動なんですの | |
怒られないように怒ってるって感じ? | |
要は逆ギレね | |
少しは反省すればいいのに…… |
ミノタウロスと化していたのが、子どもたちの魂だったとはな…… | |
あの子たち……なんでこんなところに居たんだろう | |
災厄の時代となってから、あのようないたたまれない憑魔は増えています | |
そっか……あれは親に望まれなかった子どもたちなんだ | |
……捨てられた子たちってことか | |
この地はもしかしたらそのための場として、人々に伝わってしまったのかもしれませんね | |
血が繋がってるのに親から拒絶されるなんて…… | |
……血の繋がりなんかなくても、ジイジはオレを大切に育ててくれたのに | |
ああ。やるせないな…… | |
ほーら! うつむくなっつの! | |
そうよ。ちゃんと救えたじゃない。あなたのおかげでね | |
うん | |
エドナ、妙にしおらしいじゃないか | |
自分の過ちぐらい認められるわ。あなたと違って大人なんだから | |
そうですか…… |
この石柱も……生贄に関係するものかな? | |
まったくバカげてる! 天族が生贄を喜ぶはずないだろう! | |
頼まれてもいらないわよ。人間の命なんて | |
………… | |
ふん。捧げるだの救いだの言っているが、要は弱いヤツらの逃げ道だろう | |
死ぬことが逃げ? | |
死ぬより辛い現実なんていくらでもあるからな。こんな災厄の世じゃ、特にそうだ | |
自らを顧みず犠牲にすることは、ある意味穢れとは正反対の行為ともいえますが…… | |
は! 生贄が純粋だと? | |
もちろん正しいとは思いませんが…… | |
どちらも認めたくないな | |
けど間違ってるとも言い切れない。どっちもね | |
現実なんだな。それが |
まあ、あんなところに…… | |
なにを見ている? | |
崖の上に鳥の巣が。ヒナがいるようですわ | |
多分シルフイーグルの巣だろう | |
こんな過酷な場所でも生きているんですね。命が | |
たしかに過酷だがな。岩場は敵から巣を守る城壁でもある | |
やまない風も高く飛ぶ力に変わる | |
そう捨てた場所でもないのかもしれん | |
………… | |
なんだ? | |
いえ、珍しいなと思って。こうして落ち着いて話すのも | |
ちっ…… | |
気まぐれだ | |
いい風が吹いているからな | |
ええ。本当に | |
鳥たちを運ぶ風ですね…… |
きゃあ! | |
うわっ! でっかいネズミ! | |
そりゃネズミくらいいるさ | |
むしろ遺跡にはつきもの | |
ミクリオさん、ネズミは平気なんですね | |
ネズミは吠えないからね | |
そりゃ吠えないけど、おっきいネズミって意外に迫力だよ? | |
今のは、丸焼きにしたら結構お腹いっぱいになる大きさだったし | |
丸焼きって…… | |
ネズミは病気を伝染させることがある。食べるのは危険だ | |
マジつっこみされた! ただの例えなのに! | |
その発想はなかった。ネズミは遺跡に閉じ込められた時の非常食になるな! | |
だから例えだし、病気が危ないって! | |
そんな心配する前に、閉じ込められないように気をつけてくれ |
ほんと謎だよな、ザビーダは | |
うん。面白天族ってことはわかったけど | |
言葉も行動も読めなさすぎる | |
ライラ。あいつのことを教えろ | |
教えろと言われましても…… | |
憑魔狩りのザビーダ。噂はよく聞く男だ | |
憑魔との戦いが目的らしいが…… | |
エドナも知り合いだったんだな | |
微妙にね | |
あいつ時々レイフォルクに来るのよ。なにが目的かは知らないけど | |
結局、謎天族ってことしかわからないね | |
そういえば、デゼルとザビーダって戦い方似てるよな | |
そこになにかヒントが―― | |
知るかよ! | |
……俺の技は、俺が磨き上げたものだ | |
わかった | |
くそ! なぜ俺はアイツにこんな…… |
あの変なのに並ぶとこまで来たな | |
あれは何なんだろう? 明らかに人の手によるものじゃないが…… | |
あんなのがあったら、塔そのものが信仰の対象になったのもうなずけるってとこだな | |
いや、内部のこんなところに普通の人は来れない。やっぱり外観の荘厳さからだろう | |
も〜! そんなことより! | |
そろそろゴールだよね? | |
どうかな〜 | |
まだ中腹ぐらいじゃないか? | |
そっか〜…… | |
ばてたのか? | |
ん、だいじょぶ。ありがと! | |
別に心配などしていない | |
だめよ。それじゃだめ | |
何がだ? | |
ミボ。見本を見せなさい | |
なぜ僕に振るんだ! っていうか何の見本だ! | |
ライラ! | |
え? あ、えーっと、ぐるぐるしても大丈夫 | |
まかせて安心デゼル印の『瞬天の迅』。離れた崖でもひとっ飛び、デゼル印の『瞬天の迅』 | |
今ならデゼルさん付きで、お値段据え置き500ガルド | |
安すぎるぞ!! というより、なんなんだこれは! | |
それよ。それを最初からやればいいのよ | |
何がだ……何でだ……! | |
なんだかんだでデゼルも付き合いいいよな。あんなのエドナの暇つぶしなのに | |
あはは。楽しそうだし、おっけーおっけー | |
僕は君の気持ちがわかるよ……デゼル…… |
苦労して秘力を集めたのに、勝てるかどうかわからないとはね | |
それが現実よ。戦いには運も相性もあるんだから | |
わかってはいるが…… | |
でも、かの者の領域は障害にならなくなった。これは秘力の効果ですわ | |
ひげネコの罠かも知れないけど | |
少しは前向きなことを言えないのか? | |
そういう警戒心が勝敗を分けるのかもしれませんわ | |
試練で得た、シンジツを見抜くチカラヨー! | |
元々疑り深かっただろう | |
経験を積んだのは確かでしょ。少しは前向きなことを言えないの? | |
………… | |
信じるしかないですわ、ミクリオさん。自分と仲間の力を | |
グダグダ悩むな。力は貸す | |
デゼルさん | |
ありがとう。頼もしいよ | |
気にするな | |
俺の復讐を手伝ってもらうためだ | |
………… | |
………… |
よし、一通りまとまったぞ | |
なにができたのですか? | |
ローランス皇帝家の一覧だ。わかったことをまとめてみた | |
マメだなあ | |
こういう積み重ねが大事なんだ | |
せっかくですから状況を見直してみましょう | |
だな。ミクリオ、解説頼む | |
いいか。まず先代皇帝ドランには三人の息子がいた。長男レオン、次男コナン、三男ライト | |
レオンとコナンは先代の正妃……つまり妃殿下の息子だが、二人ともすでに死亡している | |
二人とも? | |
権力争いがあったらしいが、詳しいことはわからなかった | |
ふむ…… | |
とにかく、それで幼くして即位したのが、現皇帝ライト陛下なのですね | |
側室が産んだ皇子……妃殿下は面白くないよな? | |
彼女は、かなりの野心家らしいからね | |
だから今、自分の甥を養子にして、次の継承権に絡ませようとしているようだ | |
それに皇帝派の秘書官が対抗していると | |
ふう……泥沼だな | |
評判では、秘書官はなかなか清廉な人物のようだが…… | |
でも、風の骨に依頼したんですよね? 妃殿下暗殺を | |
そのことだよ。なぜロゼは暗殺依頼を受けたんだ? | |
ローランス皇家は仇のはずだし、利用される危険も高いだろう | |
結局、権力争いで困るのはローランスの民衆だ | |
妃殿下は、それを気にしない人なのか……。秘書官の依頼に義があるのかどうか…… | |
ロゼは、そういうことを見極めようとしてるんだと思う | |
今までと同じに? | |
同じに | |
忘れるなよ。僕たちも巻き込まれていることを | |
わかってるよ。ミクリオの解説のおかげで | |
それなら、まとめた甲斐があった |
不思議な物だよな、これ | |
ザビーダがくれたやつか。あいつは力を撃ち出す道具だと…… | |
言ってた。これで穢れに対抗する力を得てるって | |
自分を撃てば力を増し、誰かに撃てば穢れとの結びつきを断つ | |
そういう『力の矢』を撃つための『専用の弓』というところか | |
この弾に、その力が? | |
おそらく | |
これが最後の一発か…… | |
そうなるね。どうやってつくったかわからない以上は | |
分解してみたらなんかわかるかも―― | |
スレイ | |
わかってる。元に戻せなくなるだけだよな | |
慎重に扱おう。貴重なものなのは間違いない | |
力を撃ち出す……か |
ザビーダ、デゼルの穴を埋めるって言ったよな? | |
おうよ。いい女には百言くらい言っちまうが、男に二言はないぜ | |
けど、それってできるのか? | |
おろ、疑われてる? 俺様の実力知ってるだろ | |
知りたくなかったが無理矢理教えられたからね | |
いやあ、悪かったって | |
実力はわかってる。けど風の秘力は? | |
もう一度とりにいかなくていいのか? | |
そのことなら心配無用。秘力ってのは導師が身につけたもんだ | |
だから問題なし! 俺様みたいな実力派の風の天族がいればな | |
それならよかった | |
無駄にはならないさ | |
無駄にはしないよ | |
ちょっと意外だが、ザビーダは秘力や導師のことに詳しいんだな | |
くくく、そりゃあ経験を積んだ大人の男だからよ | |
安心して頼ってくれていいぜえ♪ | |
なんだろうな? この安心できない感じは…… | |
ははは…… |
グレイブガントにヘルダルフはいないみたいだ | |
そのようですね。秘力があっても、近くにいれば強い領域を感じるはずですわ | |
別の場所を捜すしかないね | |
にしても、なんか手がかりがないと | |
同意。無駄足はイヤよ | |
あの穢れは、そうそう隠せるものじゃないはずだけど…… | |
穢れか…… | |
妙に強い穢れを感じたことはある | |
いつ? | |
前にお前たちとやりあった後。ギネヴィアの塔からペンドラゴに戻る途中だ | |
ペンドラゴの南西辺りかな | |
よし。行ってみよう! | |
信じていいのか? こんなテキトーな情報 | |
調べる価値はあるさ | |
ダメで元々! | |
無駄足だったら刺すけどね | |
へいへい、覚悟しときますよ |
手っ取り早く俺がここに馴染むために、お前らに頼みたいことがある | |
……お前らの弱点を俺に教えてくれ! | |
教えるかそんなもの! | |
ミク坊冷たいねえ〜。俺は教えられるぜ? 実は俺、気温が低い日は肌寒い | |
見りゃ分かる上にじゃあ着れ! | |
もっと重大な秘密がいいのかい? ホントのところ、女の涙に弱い | |
んな情報いらない | |
おねだり上手過ぎだろ〜これはヤバいぜ! ……地属性に強いが火属性に弱い | |
……知ってた | |
これもダメか〜! 他にお得な情報っていったら、オレの目測だと、ライラは上から…… | |
弱点の話じゃなくなってますわ! | |
…もはや馴染む馴染まないの、意味がさぱらん |
あいつ……なんで…… | |
ロゼさん、もしかして、かの者にやられた怪我が……? | |
あ! それは平気! | |
みっともないよねえ。人質とったのにやられるなんて | |
いえ。恐るべきは迷いなく攻撃したかの者です。そして…… | |
サイモン、だよな | |
はい | |
あいつの幻覚、なんでもありだもんね | |
確かに彼女の幻覚能力は普通ではありません。でも、もっと異常なことがあります | |
あいつが……穢れてないこと? | |
そう。つまり純粋に信じているのです。かの者の理想を、心から | |
なんで信じられるわけ!? | |
あいつ、撃たれたのに笑ってた。なんでそこまで―― | |
それは彼女にしかわからないことでしょう…… | |
だが、サイモンが天族のまま、ヘルの野郎に従ってるのは幻覚じゃない | |
……わかった。ヤバイのはサイモンの純粋さなんだね | |
皮肉だがな | |
……うん |
あ。こんなトコまで登ってきてる | |
下がれ、ロゼ! | |
憑魔だ! | |
は? なに言ってんの? | |
なにじゃない! | |
その赤いヤツから離れろ! | |
いやいや。これ、ただのカニだから | |
ただのじゃない! 足が8本もあるぞ! | |
それがカニよ | |
そのハサミは凶器だろう | |
それがカニですわ | |
けど甲羅もトゲトゲだし…… | |
泡を吹いて小型のヤツもたくさんいて…… | |
100%カニだ | |
……マジで? | |
マジで。普通に海にいる生き物 | |
しかも美味しい | |
こんな生き物が普通だとは…… | |
海って怖いな…… | |
変なの。どうでもいいことはいっぱい知ってるのに | |
山育ちだから海の知識がないのですね |