今の、僕たちの話じゃないか? | |
みたいだな | |
いいのか、聞かなくて? | |
ミクリオ | |
……すまない。盗み聞きすることじゃないよな | |
大事なことは、ちゃんと伝えてくれてる。ジイジは | |
ああ。それはライラもだ |
スレイ、それって…… | |
『私、ゼンライは、人間スレイと天族ミクリオの出生の真実を、ここに書き残すものである』 | |
ジイジの手記か! | |
ジイジ | 『スレイとミクリオは、災厄の時代が始まった村カムランの生き残りである』 |
ジイジ | 『ミクリオの母は、先代導師ミケルの妹ミューズ。スレイの母は、カムランの住人セレン』 |
ジイジ | 『私は、カムランを脱出してきたミューズから二人を託された』 |
ジイジ | 『私は、領域によってイズチを閉じ、二人を外界と切り離して養育すると決めた』 |
ジイジ | 『我が力が続く限り、この小さな赤子たちを守ろうと思う。我が家族として』 |
メーヴィンおじさんが見せてくれた記憶 | |
ああ、マオ坊が憑魔化した直後のことだな | |
ライラ、あなたがゼンライに会ったのも、この直後なんじゃない? | |
そっか。ジイジからカムランの事件と、災厄の時代の始まりを知らされた | |
それで誓約で浄化の力を手に入れ、導師の出現を待ち続けた……ってことか | |
……お二人の名前までは伺いませんでしたが | |
スレイ、他に書いてあることは? | |
『願わくば、時代の仇を背負わされてしまったこの子らに平穏な日々を』 | |
『だが、もし――』 | |
スレイ? | |
『――だがもし、この子らが宿命を乗り越えて、世界を拓くことを望むのなら』 | |
『その意志と未来に、人と天族の加護があらんことを心より願う』 | |
本当にわかってたんだな、ジイジには | |
ジイジ…… |
これ、ドラゴンの骨か! | |
これを調べたら、ドラゴンの存在の核心にもっと迫れるかもしれないな | |
へぇ〜。二人って手羽先食べててもなんか見つけ出しそう | |
鳥の羽と動物の足の骨って、不思議なほど似てるんだよ。もしかして―― | |
なんか始まったし | |
バカ | |
問題は不死身のドラゴンが死んでるってことだ | |
しかも四足種――最強のドラゴンが、です | |
こいつを倒したヤツがいるってことだな | |
もしくは『いた』だな | |
………… | |
怖かったら手握ろうか? | |
違う。地脈が変なのよ | |
おりょ? マジ返しかよ | |
あなた、なにか知ってるんじゃない? | |
八天竜の巣『だった』。大昔はな | |
けど行くんだろ? ここが何でも、よ | |
ああ……気を抜くなよ、みんな | |
オッケー! 骨になったらスレイに研究されちゃうしね |
ドラゴンと戦う事になるなんてね〜 | |
同じ構造物が他にもあるわ。きっとまだ居るでしょうね | |
ホントにここはドラゴンの巣なんだな | |
捕らえられているように見えたが…… | |
じゃあ、罠だ。ドラゴンホイホイ的な | |
しかし、捕獲できるなら倒せるはずだ。生かしてある理由がわからない | |
うーん…… | |
ドラゴンを利用する気だったとか…… | |
単にドラゴンを飼っている……なんてことはありませんよね | |
それだ! 飼ってるんだよ | |
お乳を搾るために、牛を飼う牧場! ここ、牧場に似てる気がする | |
ほほう | |
ドラゴンを家畜にして、一体何を搾るって―― | |
『穢れ』か | |
……この遺跡の術は、ひとつに連動しているように見えますわ | |
つまり、ここは穢れを取り出す回路……? | |
その仮説、確かめないといけないな |
結局、この遺跡はなんだったのかな? | |
おそらくドラゴン牧場が正解だ。ドラゴンを利用する天族の文明があったんだ | |
目的はなんだったんだろう? 人間との関係は……? | |
残念だが、よかったとは思えないね | |
……だよな。生活の痕跡もなかったし | |
上手くいかないんだね。ドラゴンを捕まえる力があっても | |
どんな時代……どんな人たちがいたのかな…… | |
そうか。導師殿もミク坊も、遺跡を通して人や天族を見てるんだな | |
お二人は、前からそうでしたわ | |
今頃気付くなんてバカなの? | |
そりゃあ失礼しました! | |
いや。オレも昔はちゃんとわかってなかった。旅に出て、たくさんの遺跡を回って実感できたんだ | |
遺跡は、人の営みそのものだって | |
それは僕も同じだ | |
無駄ではなかったのですね。この旅は | |
それ言うの、まだ早くない? | |
ああ。まだ見つけてないもんな | |
オレの夢に繋がる遺跡を | |
どこかにあるさ。必ず |
………… | |
どうかしましたか、エドナさん? | |
地脈が活発化してる | |
えっ!? | |
どういうことだ? | |
大地が力を増してるのよ。つまり、それを器とするマオテラスも | |
ヘルの野郎も……か | |
しかし、なぜ突然? | |
……活発化ではなく、元に戻ったのかも | |
カースランドの発する穢れは、時空を歪めるほどでした | |
なるほど。それが大地も歪め、地脈の流れを抑えていたとすれば | |
俺たちが、それを止めちまったのが原因か | |
すみません……私が事前に気づいていれば…… | |
それでもやっただろうね。スレイもロゼも | |
言うじゃない | |
強くなったってことさ。僕も | |
選んでやったことだ。後悔なんてないよな | |
……そうでしたわね | |
強くなりますわ、私も |
マーガレットの手がかり、特にないね | |
嫌な話は、そこら中で聞けるが…… | |
……もしかして、サインド、マーガレットと知り合いだったんじゃないかな | |
……つまりマーガレットさんは、天族と話ができるほどの霊応力があったのではと? | |
ああ。二人は友達だったのかもしれない。けど…… | |
何かがあった | |
うん | |
……これは是が非にもマーガレットと会って話すべきだ | |
小さい子がそう遠くまで行けるはずないしさ。明日は街の近くを捜してみよ | |
宿屋の女将 | きゃあああっ! |
悲鳴!? | |
外だ! |
マーガレットの手がかり、特にないね | |
嫌な話は、そこら中で聞けるが…… | |
……もしかして、サインド、マーガレットと知り合いだったんじゃないかな | |
……つまりマーガレットさんは、天族と話ができるほどの霊応力があったのではと? | |
ああ。二人は友達だったのかもしれない。けど…… | |
何かがあった | |
うん | |
……これは是が非にもマーガレットと会って話すべきだ | |
小さい子がそう遠くまで行けるはずないしさ。明日は街の近くを捜してみよ | |
宿屋の女将 | きゃあああっ! |
悲鳴!? | |
外だ! |
俺、霊応力があるのはいいことだって思ってた。けど、そうとは限らないのかな | |
見えるようになる前と後じゃ、全然違う世界だもん。人によっちゃ悪い方に転がる事もありそう | |
……要はそいつや周りの捉え方次第だ | |
それぞれの価値観ってとこね | |
ですが価値観の相違は、争いの呼び水でもあります | |
それぞれ違う世界を生きている……人と天族の共生が難しい大きな理由だな | |
導師と人も……だよな | |
大切なのは他の人の価値観を認められる心ですわ | |
そそ。どうやっても同じ人間にはなれないし | |
なにより、今回のは霊応力関係ないっしょ | |
イジメた連中が悪い | |
受け入れてくださるのですね、ロゼさん! | |
てか、あるものはあるんだから、前向きに考えなきゃ損でしょ? | |
いいこと言うじゃなーい。ロゼのクセにー | |
ぎゃあ! 頭の中でしゃべるなってば! | |
いい加減認めなさいよ。天族はこういうものだって | |
こういうのがキモコワイってのも、あたしの価値観! |
俺、霊応力があるのはいいことだって思ってた。けど、そうとは限らないのかな | |
見えるようになる前と後じゃ、全然違う世界だもん。人によっちゃ悪い方に転がる事もありそう | |
……要はそいつや周りの捉え方次第だ | |
それぞれの価値観ってとこね | |
ですが価値観の相違は、争いの呼び水でもあります | |
それぞれ違う世界を生きている……人と天族の共生が難しい大きな理由だな | |
導師と人も……だよな | |
大切なのは他の人の価値観を認められる心ですわ | |
そそ。どうやっても同じ人間にはなれないし | |
なにより、今回のは霊応力関係ないっしょ | |
イジメた連中が悪い |
俺、霊応力があるのはいいことだって思ってた。けど、そうとは限らないのかな | |
見えるようになる前と後じゃ、全然違う世界だもん。人によっちゃ悪い方に転がる事もありそう | |
力を生かすも殺すも、決めてんのはてめえ自身ってな | |
それぞれの価値観ってとこね | |
ですが価値観の相違は、争いの呼び水でもあります | |
それぞれ違う世界を生きている……人と天族の共生が難しい大きな理由だな | |
導師と人も……だよな | |
大切なのは他の人の価値観を認められる心ですわ | |
そそ。どうやっても同じ人間にはなれないし | |
なにより、今回のは霊応力関係ないっしょ | |
イジメた連中が悪い |
スレイ、まだ寝ないのか? | |
ああ。ちょっと街をみたくなって | |
……静かだから、逆に歴史の重みが感じられるね。アスガード隆盛期から続く古都ならではだ | |
今更だけど思うよ。本で読んでた街にいるんだなって | |
古代の旅人なら詩を捧げるところかもしれないな | |
詩か…… | |
『ペンドラゴ 夜の景色も いい感じ』 | |
……スレイ | |
い、今のはアレだけど、練習しなきゃ上手くならないだろ? | |
? | がおおおおっ!! |
なんだあっ!? | |
今の声は!? | |
うるさいわよ、ミクリオ | |
僕じゃない! | |
とにかく外だよ! |
なかなかのネ……人物だね、ムルジムは | |
だよね。見た目はデ……ポッチャリだけど | |
穢れ、祈り、祀られること、加護を与えること…… | |
私たち天族も、もっと人との関わり方を考えるべきですわね。ムルジム様のように | |
もちろんオレたち人間も | |
そういう努力の先にあるんだと思う。人と天族が共存する道が | |
けど、そんなムルジムですら憑魔になった。現実は過酷よ | |
言い方も過酷だな | |
現実を見ずに理想を語るな、でしょ? | |
ああ。このペンドラゴにムルジムが対処できないほどの穢れが溢れた。それは忘れちゃいけない | |
なんかワケがあったのかもだね。穢れがすっごく溢れたのも | |
そう、ですわね | |
任せきりにせず、僕らも時々様子を見よう | |
だな |
……て、今更だけど、ここお墓だよね? あたし、罰当たるかも!? | |
大丈夫、当たる時はみんな一緒ですわ | |
一等はロゼに譲るから安心なさい | |
いーらーんー! | |
大騒ぎする方が冒涜だよ。遺跡に対して | |
でた。遺跡バカ2号ミクリオ | |
略してバカ×2ミボね | |
略し方おかしいだろ!? | |
声大きい。冒涜よ | |
誰のせいだっ! | |
あ? ミクリオって、スレイ絡みじゃなくても結構怒ってるね | |
怒ってるんじゃなくてツッコミだよ。ミクリオのは | |
……お前が言うか? | |
今のは真剣に腹が立つね |
……て、今更だけど、ここお墓だよね? あたし、罰当たるかも!? | |
大丈夫、当たる時はみんな一緒ですわ | |
一等はロゼに譲るから安心なさい | |
いーらーんー! | |
大騒ぎする方が冒涜だよ。遺跡に対して | |
でた。遺跡バカ2号ミクリオ | |
略してバカ×2ミボね | |
略し方おかしいだろ!? | |
声大きい。冒涜よ | |
誰のせいだっ! | |
あ? ミクリオって、スレイ絡みじゃなくても結構怒ってるね | |
怒ってるんじゃなくてツッコミだよ。ミクリオのは | |
出たねえ。天然発言 | |
今のは真剣に腹が立つね |
うーん…… | |
やっぱり一度、高値に落ち着いた相場は、ちょっとやそっとじゃ戻らないな〜 | |
だが商人たちも冷たいとは思うが、穢れているという訳じゃない | |
ええ | |
加護を戻しても、問題が全部解決するわけじゃないんだよな…… | |
加護は人の心を変えるわけではありませんから | |
難しいよな | |
救いはローグリンの人たちに憎しみやあきらめがないことですわ | |
どの道、導師の出る幕じゃないわよ | |
うん、こっからは商人が工夫するとこ! |
ノル集め、あきてきたわね | |
そんなこと言って、ホントはノルミン好きなんでしょ? | |
傘にマスコットつけるくらいだし | |
ロゼさん、マスコットの話は…… | |
長くなるんだけど | |
面白そう! いいよ、じっくり聞こうじゃない | |
……なら教えてあげる。コイツはね―― | |
頭を引っ張ると首が伸びるのよ。キリンくらい | |
長くなるって、そっちかよ!? | |
鼻も伸びるわ。最大、身長の1.5倍 | |
キモッ! すでにノルミンじゃない! | |
そう。こいつは厄除け、験担ぎ、晴天祈願、イワシの頭……そういう類のアレよ | |
なんかよくわからんけど……了解 | |
つまり、特別なお守りなんですよね? | |
……別に。もらったからつけてるだけ |
ノルミン、結構集まったね | |
ええ。大分ノルってきたわ | |
それにしても、ノルミン天族の能力は便利だな。なのに、なぜ放置されているんだろう? | |
だよな。助けて欲しい天族は大勢いそうなのに | |
昔は引っ張りダコならぬ、引っ張りノルミンで、みなさん大忙しだったんですよ | |
なのに、なんで今は野良なの? | |
ある時、彼らのリーダー的存在が、過酷な労働条件に反旗を翻したのです | |
ノルミン天族の自主独立と、賃金の大幅アップを要求し、独立闘争を仕掛けてきたのですわ | |
ノルミンの反乱!? | |
大きな争いになったのか? | |
いえ……独立を叫んだのはリーダーさんだけで、他のノルミンさんたちは―― | |
『お手伝いはかまへんけど、せっせと働くのは三百年にいっぺんくらいで堪忍したって〜』 | |
……という形で話がまとまったのです | |
ぬるいなー。らしいけど | |
で、リーダーはどうなったの? | |
ええっと、それは―― | |
ある天族と決闘した挙げ句に敗れ、行方知れずになった……みたい | |
そっか……ノルミン天族にも歴史があるんだな | |
ライラはともかく、エドナも詳しいんだね。やっぱりノル好きなんじゃ―― | |
ただの噂。小耳にはさんだだけよ |
ね。みんなが加護を与えたら、どんな感じになるのかな? | |
そうだな……僕なら、やはり『学業成就』だろうな | |
ライラは『家内安全』かな? | |
ふふ、そうですわね | |
くだらん | |
ワタシは『無病息災』かしら | |
へ? 意外 | |
そうでもないわ。今まで何度も雷に直撃されたり | |
レイフォルクの頂上から転げ落ちたり、土砂崩れに巻き込まれたり | |
タンスの角に足の小指をぶつけたり、ノドに魚の小骨がひっかかったりしたけど | |
こうして無事でいるもの | |
すげー! 一部すごくないけど、大筋すごい! | |
エドナって運がいいんだな | |
不思議なほどにね | |
だから、ドラゴンになったお兄ちゃんの近くにいても死ななかった | |
………… |
ね。みんなが加護を与えたら、どんな感じになるのかな? | |
そうだな……僕なら、やはり『学業成就』だろうな | |
ライラは『家内安全』かな? | |
ふふ、そうですわね | |
俺は『縁結び』かな。もちろん、いい女と俺様の | |
ワタシは『無病息災』かしら | |
へ? 意外 | |
そうでもないわ。今まで何度も雷に直撃されたり | |
レイフォルクの頂上から転げ落ちたり、土砂崩れに巻き込まれたり | |
タンスの角に足の小指をぶつけたり、ノドに魚の小骨がひっかかったりしたけど | |
こうして無事でいるもの | |
すげー! 一部すごくないけど、大筋すごい! | |
エドナって運がいいんだな | |
不思議なほどにね | |
だから、ドラゴンになったお兄ちゃんの近くにいても死ななかった | |
………… | |
偶然ってわけじゃないかもだがな |