ゼスティリア小説(文庫)上下巻:レビュー

情報

ファミ通文庫 テイルズオブゼスティリア
著者:平林佐和子
イラスト:ufotable
原作:バンダイナムコエンターテインメント

上 / 324 P / 定価 660円+税 / 2015年04月30日
下 / 320 P / 定価 720円+税 / 2015年07月30日

※電子書籍もあります。

総評

ファンとしては、すごく満足できるというほどではないけれど、そこそこ楽しめるといった感じです。
ボリュームの制約があるので、全体的にすごく駆け足ですが、抑えるところはきちんと抑えられています。

挿絵は、上下巻それぞれ6ページずつ。
鉛筆絵ですが、アニメ・導師の夜明けと同じ作画なので、この作画が好きな人には、これだけでも見る価値はあるかもしれません。

ボリューム

まず最初に言わなければならないのは、上下巻それぞれ約300ページというボリュームで物語を描いているということ。
到底全部を詰め込める量ではないので、省略されているストーリー部分が多く、かなり駆け足で進んでいきます。

イズチから旅立ちまでが丸々カットされて、レディレイクに向かうところから始まったりするので、ゲームをプレイしていないと理解できない箇所もいくつかあります。
ゲームをやっていない人が読むことはあまりないでしょうけど…初見の人が不足なく読めるようには書かれていません。

なお、ストーリーを出来る限り短縮する目的で、オリジナルの展開になっている所も多くあります。
これに関しては特に違和感はなく、このキャラならこういう展開になりそうだなと思うような感じになっているので、うまく繋げられていると思います。
マーリンドのストーリーが丸々なかったことになっているのは、ちょっとびっくりしましたが(笑)。

それ以外は基本的に、ゲームのストーリーをざっとなぞっているという感じです。
セリフに関しても、ゲームそのままという所も多いです。

総合的に見れば、このボリュームでストーリーを収めたという意味では、きちんと纏められている方だと言えるでしょう。
もう少しボリュームがあれば、ちゃんと描ける部分も多かったと思いますが…まあ、仕方ないかもしれません。

心理描写

ゲームよりは幾分、キャラの心理描写に焦点を当てている部分が結構あります。
アリーシャの国への想いだったり、エドナが山に残っている苦しさだったり、スレイの導師としての苦悩だったり、ミクリオのスレイへの気遣いだったり。
この辺りはゲームと違って楽しめる部分かなと思います。

ほか

このキャラはこんな言い方しないのにな、と思う箇所はいくつかあります(そこまで致命的なものではないですが)。

あとは、ゲームではちょっと唐突だなと思う所が、ちゃんと納得できるような形で描写されていたりするので、そうだったのかという気持ちになれる部分もあります。

上巻の詳細

レディレイクに向かっている所から、ペンドラゴでフォートン枢機卿を倒すところまで。

ストーリー短縮のためにオリジナルの展開が多いという点では、上巻の方が新鮮で楽しめました。
アリーシャがレイフォルクに一緒に行っていたり。

ミクリオ推しには、オリジナルでの嬉しい描写が何箇所かあります。

スレイがロゼに、「(ロゼとは)歳も性別も違うし」と言っているところ、結局ロゼっていくつなんだろうと思いました。
ゲームの勝利セリフでは、エドナに「ロゼは結構大人よね」と言われているので、スレイより年上だとは思いますが、実際どれくらい上なのか…結局謎。

下巻の詳細

水・土の試練はサクッと省略して、風の試練神殿から、エンディングまで。

後半ともなると、重要なストーリー展開が多いので、駆け足でゲームのストーリーをそのままなぞっている部分が多く、上巻に比べると、あまり新鮮さはないかなという感じです。

オリジナルの展開もいくつかありますが、野営中にノルミンがいきなり現れて瞳石をくれたりと、瞳石に関しては唐突に展開することが多いので、少し雑に感じるかもしれません。
下巻は他にも重要な描写が多くあるため、他はざっくり行くのは仕方ないかもしれませんが。

なお、下巻では、カムランでの過去の話が、ゲームよりも掘り下げて語られています。
ここが一番の見せ場かと思うほどです。
特にミケルの心理については、ゲームよりも納得感は得られるかなというところ。

逆に、最終盤からラスボス戦までは、かなりあっさりと描かれているので、最後は物足りなさを感じるかもしれません。

「ザビーダ」が「ビーダ」になっている箇所が2つあったので(初版)、誤字は気になりました。